スウェーデンのPant(パント)制度とは[環境先進国の取り組み]

スウェーデン

こんにちは、suzukaです。

環境先進国とされるスウェーデンでは、どのようなサステイナブルな取り組みが見られるのでしょうか。

本記事では、スウェーデンで導入されているPant制度というものをご紹介します。

ぜひご覧ください。

アルミ缶やペットボトルをそのまま捨てるのは勿体無いですよ!

この記事を読むと

  • スウェーデンで見られるPant制度について理解を深めることができる。
  • リサイクルの流れを知ることができる。
  • Pant制度のリサイクル率を知ることができる。
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Pant(パント)制度とは

スウェーデンには、Pant(パント)制度というデポジット制度が存在します。

アルミ缶やペットボトルを返却して、デポジットを返金してもらえるというシステムです。

返却したアルミ缶やペットボトルは再利用され、新しいアルミ缶やペットボトルになるなど非常にエコな取り組みだと言えます。

スウェーデン語では、Pant制度を利用できるアルミ缶やペットボトルのことを「Pant(パント)」、Pant制度を利用することを「Panta(パンタ)」と言います。

上記の用語を用いながら、以下で詳しく解説します。

Panta(パンタ)の仕方

スーパーなどでアルミ缶またはペットボトル飲料を購入すると、その飲料代に加えてPant代を支払うことになっています。

購入した際にレシートを確認すると、飲料の商品名の下に『+PANT』と記載されています。

アルミ缶や小さなペットボトルの場合は1クローナ(約13円)、大きなペットボトルは2クローナ(約26円)のデポジットがあり、例えば20缶入りの飲料を購入すると『+PANT 20』と表記され、20クローナをデポジット代として支払うこととなります。

じゃあ、どのようにデポジット代を返却してもらえるの?

まず、多くのスーパーマーケットにPantを返却する以下のようなPant機械があるので探してみましょう。

パント機械

多くはスーパーの入り口または出口付近で見られますが、場所によっては店内の場合もあります。

そして、その穴の中にアルミ缶やペットボトルを入れます。

入れ終えたらPantボタン、またはデポジットを寄付したければ寄付用のボタンを押します。上記のPant機械では赤十字社への寄付が可能ですが、場所によって寄付先が異なる場合もあります。

Pantボタンを押すと、以下のようなレシートが出てくるので、このレシートをレジで提示またはセルフレジでスキャンすると買い物の合計から割引をしてくれます。

パントレシート

レシートの有効期限は1年。

以下はPantaする際の注意点です。

注意点

・レシートを使用できるのは、レシートを発行した店舗のみ。同じチェーン店でも、レシートを発行した店舗でなければ使用できません。

・Pantaできるのは、スウェーデンのPantマークがあるもののみ。なので、例えばデンマークで購入したアルミ缶はスウェーデンのPant制度を利用できないということになります。

パントマーク

Pant 1KRと記載されているのがPantマーク。缶のオモテ面には「私をPantaしてね!」、「飲んで、楽しんで、Pantaしよう」と書かれています。

Pantのその後

Pantを機械に投入した後は、どのような流れで再利用されるのだろう。

という疑問を持たれた方に、簡単に流れをご説明します。

Pant機械に投入されたPantは、バーコードが読み取られアルミ缶とペットボトルに分別されます。同時に圧縮されることで、多くのPantを収集することを可能としています。

スウェーデンのPant制度の責任を負っているPantameraという会社のNorrköpingにある工場に運ばれ、もう一度細かく分別が行われます。

アルミ缶はドイツやフランスにある精錬所で溶かされ、再度アルミ缶が作られます。

ペットボトルは有色・無色のものに分別、隣にある再生工場に運ばれ粉砕されます。有色のものは緩衝材やフリース製品に、無色のものは再度ペットボトルが作られます。

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Pant制度の効果

Pant制度の高いリサイクル率

スウェーデンでは、すべての缶とペットボトルの90%がリサイクルされることが目標であり、近年では目標に近い数値を出してPant制度において世界でも優秀な国となりました。すべての容器のリサイクルは環境に良いことです。2021年のPant率は88.2%でした。これは、およそ180,000トンの二酸化炭素の削減に相当します(筆者訳)。

参照 Om pantsystemet / Pantamera

Pant制度がスウェーデンで多くの人に活用され、リサイクル率が高いことがわかります。

人々が日常生活の一部としてPant制度を利用してリサイクルに貢献し、その効果がどれだけ大きいのかというのを人の目につきやすい所に掲載されています。

パント機械の近くにある文

(写真: あるスーパーにあるPant機械の近くに掲げられていたもの)

「こんにちは!43本の大きなペットボトルをPantaすると、そのエネルギーで電気自動車を50km走行させることができると知っていましたか?(筆者訳)」

Pant制度を促進するために、人気歌手Myra Granbergを起用したPantameraという歌もあるほど、特にPantameraの会社によって精力的な取り組みが見られます。

繰り返し部分の歌詞は、Pantameraの会社の名前にかけて「もっとPantaしよう(Panta mera)」という意味。

一缶あたり1クローナ、すなわち約13円の価値があるので、ストックホルムを歩いていると身なりがあまり良くない人などがゴミ箱を漁ってPantを探しているのを見かけるのは珍しくありません。

ゴミであったものに金銭的価値ができたので、他の種類のゴミが道端に落ちている中、空き缶やペットボトルはあまり見られないように感じています。

<ちょっと一言>家で溜めていたPantを紙袋に入れて持って外を歩いていると、スーパーの付近や前で物乞いをしている方に「Pantをくれないか」と言われることがよくあります(田舎ではあまり起こらないかもしれません)。

そのような時に一度、Pantは渡せないと言っても付け回されたこともあり、正直なところ不安な気持ちになることがありました。

私の解決策は、すみませんと答えてただ早く歩くこと。他にもPantを渡したくない場合は、Pantを持っていない風にしておく、あまりPantを溜めこまない、などがあると思います。

スウェーデンに初めて来られて、知らずにこのようなことがあると怖いかもしれないので経験をシェアさせていただきました。

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まとめ

以上、スウェーデンのPant制度について、どのようにPantaを行うのか、リサイクルはどのように行われ、どのような効果があるのかをご紹介しました。

他のゴミにもPant制度と同じように金銭的価値が生まれたら、「ゴミ」がなくなるのかな・・・と考えてしまいますね。

環境先進国とされるスウェーデンの取り組み、継続してご紹介していきたいと思います。

本記事をお読みになっていただきありがとうございました。Tack och vi ses!

参照:

Pantamera https://pantamera.nu/
UR : Vad händer med återvinningen? Pant  https://urplay.se/program/216584-vad-hander-med-atervinningen-pant

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