[書評]『ぼくが小さなプライド・パレード: 北欧スウェーデンのLGBT+』

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こんにちは、suzukaです。

今回ご紹介するのはこちら。

『ぼくが小さなプライド・パレード: 北欧スウェーデンのLGBT+』

スウェーデンはLGBT+に寛容だというイメージを持っている方が多いかもしれませんが、スウェーデンがそのような状態に至るまでにどのような歴史を辿ってきたか、どのような法整備が行われてきたのかはご存知でしょうか。

当書は、首都ストックホルムで生まれ育ち、日本での留学や就労経験があるなど日本との関わりが深いソフィア・ヤンベリさんによって日本の読者向けに執筆されたものです。

LGBT+の基礎知識やスウェーデンのLGBT+の歴史を知ることができ、LGBT+当事者へのインタビューで彼らのリアルな声を聞くことができます。

以前、ストックホルムで毎年開催されているプライド・パレードに行った時の模様をレポートしているので、ぜひこちらも合わせてご覧ください⤵︎

ストックホルムのプライド・パレード[プライドの歴史]
先週はスウェーデン最大のプライド・パレードがストックホルムで開催されました。本記事では、スウェーデンのプライド・パレードの歴史やストックホルムのプライド・パレードの様子をご紹介します。現場で撮影した写真もお見せするので、雰囲気がなんとなく分かるかと思います。

こんな方にオススメ

  • LGBT+が何なのかを知りたい
  • スウェーデンがどのようなLGBT+に対する取り組みを行ってきたのかに興味がある
  • LGBT+当事者の経験や考え方に触れたい

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『ぼくが小さなプライド・パレード: 北欧スウェーデンのLGBT+』の概要

書籍情報

題名: 『ぼくが小さなプライド・パレード: 北欧スウェーデンのLGBT+』
著者: ソフィア・ヤンベリ
訳者: 轡田いずみ
出版社: ミツイパブリッシング
発行年月日: 2020年4月25日
ページ数: 224

目次
第1章  LGBT+ってなんだろう
第2章  スウェーデンの価値観とLGBT+の関係性は?
第3章  LGBT+の歴史をひもとく
第4章  LGBT+コミュニティとは?
第5章  LGBT+ムーブメントとインターセクショナリティ
第6章  コミュニティのための居場所
第7章  カミングアウトとは?
第8章  LGBT+と家族のかたち
第9章  スウェーデンのLGBT+コミュニティの課題~移民、スポーツ界、ネオナチ、ジェンダー移行
第10章  スウェーデンのLGBT+の未来

あらすじ

LGBT+フレンドリー先進国・北欧スウェーデンの当事者たちが語る、愛と勇気のリアル・ストーリー。ジェンダーレス幼稚園や世界初の性的マイノリティ専用高齢者住宅など最新のトレンド、スウェーデンにもまだある課題とは? 差別を知らない若者、子育て世代やシニア世代、当事者家族など、多様性あふれるインタビューも多数収録。日本大好きなスウェーデン人による、日本の読者のための書きおろし。

出典: Amazon

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『ぼくが小さなプライド・パレード: 北欧スウェーデンのLGBT+』の書評

LGBT+とは何か

LGBT+?「惹かれる」?性的指向?ジェンダーって一体何なんだろう?

基礎知識が全くない方もLGBT+について理解できるよう分かりやすく解説されており、スウェーデンに特化したLGBT+入門書とも言えるであろう当書。

LGBT+に関連して、パンセクシュアル、Aセクシュアル、デミセクシュラル、ジェンダーフルイドなど普段聞き慣れない用語がありますが、それぞれ説明があるので安心して読み進めることができます。

多様なジェンダー・アイデンティティやセクシュアル・アイデンティティに関する研究を通じて、より具体的で、使いやすい言葉が出てきた

というようなことを背景に、上記のような用語が用いられながらLGBT+が取り上げられる場面が近年増えてきました。

LGBT+当事者へのインタビューの中では、例えば「私はトランス・マスキュリンでAジェンダーでクィア」や「私はレズビアンでクィア」などと自身を表現しており、自分のアイデンティティや性的指向を言語化できるようになったことで、自分が一体何者なのかを表しやすくなったのではないかという印象を受けました。

しかしそれぞれのLGBT+内のグループにそれぞれのイメージが作られているため、そのイメージに当てはまらないと感じているLGBT+当事者もいるのだとか。

LGBT+のコミュニティに帰属するとはどういうことなのか線引きが難しい多様な現在社会で、当書から与えられる知識から自分がどのような人間なのかを見つめ直すきっかけも与えてくれるのではないでしょうか。

スウェーデンのLGBT+の歴史

スウェーデンは日本と比べてLGBT+問題に積極的に取り組んでおり、多様性に寛容であるというイメージをお持ちの方が多いのではないでしょうか。

しかし1940年代頃までは同性間の性的行為は違法で同性愛は病気だと考えられていたなど、今のスウェーデンとは異なってLGBT+当事者に対して社会全体から厳しい姿勢が見受けられました。

そのような歴史を持ちながらも、数十年の時を超え人々の価値観の変容や法整備が整えられてきたことで、現在スウェーデンはLGBT+に関して先進国だと見なされています。

それならば日本もスウェーデンと同じような法整備をしていけば良いじゃないか。

というとそう簡単な話ではなく、その国のあらゆる条件を考慮しなければなりません。

著者であるソフィア・ヤンベリさんは

ほかの国がスウェーデンをそっくりそのままコピーするべきではない

と語っています。

さらにスウェーデンにも依然としてLGBT+問題が多くあることを指摘しており、今の状況ではまだ完璧な国ではないとしてスウェーデンはLGBT+問題解決に尽力的に取り組み続けています。

LGBT+に関して先を進むスウェーデンの歴史や背景などあらゆる条件を知った上で、スウェーデンの軌跡は日本でどのような取り組みを行えば良いのかを考える手立てともなることでしょう。

LGBT+当事者のリアルな声

当書の醍醐味は、幅広い世代から多くのLGBT+当事者のリアルな声を聞けることです。

ふたりぱぱとして有名なみっつんさんとリカルドさん、その他に12人のLGBT+当事者またはその親が自らの経験を語ってくれています。

その中でもインタビュー当時75歳だったゲイ男性オイゲンさんは、LGBT+当事者に厳しい目が向けられていた時代を経験した高齢者も、LGBT+社会運動の考慮に入れるべきだと語っています。

彼はLGBT+当事者というと若者にフォーカスが当てられる傾向にあることを指摘しており、高齢者が当時どのような経験をしてきたのかを理解することがより明るい未来につながるのだと思いました。

あらゆる世代から、あらゆるジェンダーとアイデンティティを持つ人々の話を聞くことは、LGBT+当事者であってもなくても有益なものとなると感じました。

2.1.LGBT+とは何かでも挙げた通り、一般的にイメージされるLGBT+内のグループに当てはまらないと感じる人や、なかなか自分を上手く言い表せない人もいること。

人間は一人一人異なるため、それぞれ考え方や感じ方も異なります。

当たり前のことですが、人を一概に定義することはできないということを再度気付かされました。

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まとめ

以上、『ぼくが小さなプライド・パレード: 北欧スウェーデンのLGBT+』をご紹介しました。

定義や歴史について分かりやすい説明と共に、多くの興味深いインタビューが盛りだくさんでとても読み応えがある本でした。

皆さんも、ぜひご一読ください。

では、本記事をお読みになっていただきありがとうございました。Tack och vi ses!

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