こんにちは、suzukaです。
背表紙にはスウェーデンの国旗。先日図書館に行った時に、自然と目に留まった本がありました。
『あなたの知らない政治家の世界:スウェーデンに学ぶ民主主義』
2003年からスウェーデンに拠点を移しているというブラジル人ジャーナリスト、クラウディア・ワリンによって執筆され、2014年にポルトガル語で初版が出版されました。
10年にわたるスウェーデン生活で、彼女が特に注目したのはスウェーデンの政治。
スウェーデンの民主主義の根幹に迫ります。
当書では、政治家への待遇や政府の透明性、汚職など様々な観点からスウェーデンの政治を学ぶことができます。日本とは異なる政治システムに、目からウロコ間違いなしです。
・スウェーデンの民主主義の形成について知りたい。
・スウェーデンの政治に関心がある。
・日本とは異なる政治がどのようなものなのか知りたい。
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『あなたの知らない政治家の世界:スウェーデンに学ぶ民主主義』の概要
書籍情報
題名:『あなたの知らない政治家の世界: スウェーデンに学ぶ民主主義』
著者: クラウディア・ワリン
訳者: アップルヤード和美
出版社: 新評論
出版年月日: 2019年12月4日
ページ数: 330
あらすじ
年収約888万円(2019年現在)の国会議員は何をしているのか?北欧5か国の中でもGDPが一番高いスウェーデンだが、その報酬額は北欧中最低となっている。地方議会の議員に至っては、ほとんどの場合報酬はない。国会議員の宿舎は質素なもので、通勤や移動に公共交通機関を使うというのが常である。
「民主主義の先進国」と言われるスウェーデンの知られざる姿が明確にされ、徹底した情報公開と国民の政治参加、そして監視システムが民主主義の根幹を担っていることがよく分かる。
出典 Amazon
『あなたの知らない政治家の世界:スウェーデンに学ぶ民主主義』の書評
堅実なスウェーデン政治家
第1章は「贅沢や特権というものは皆無」。スウェーデン政治家の性質を表すのに十分な言葉でしょう。
国会議員の報酬額は北欧中最低、自転車や電車での通勤、質素な宿舎、個人秘書はいない。
国家の要となり重要な責務を果たす政府での務めでありながら、他国の国会議員が置かれている状況と比較してもとても魅力的だとは思えない労働環境。
一体何が彼らを鼓舞させるのでしょうか。
国会議員エヴァ・フリボリは、個人秘書を持つことは過度な特権であるかどうかという質問に、以下のように答えています。
特権があると、議員や政治家を、選んでくれた人たちよりもよい暮らしをするような人間に変えてしまいます。そうなると、国民と議員の間に距離ができ、一般市民は政治家を信頼することができなくなります。
彼らは一般市民と同じように地に足をつけているのです。
彼らの政治への姿勢と彼らの常識に、政治へのイメージを覆させられます。
ある意味、日本の政治に不満を持っている人は希望を持てると言えるかもしれません。
政府の透明性を保つ情報公開法
スウェーデンの税率は世界で比べてみても高い。
税率の高さは、国民から国への信頼がなければ成り立つシステムではないでしょう。
全世界で見てもより多くのお金を国に託しているスウェーデンの国民は、国がどのように税金を使っているのか常に目を光らせています。
国民から託された多額の税金で、政治家は好き勝手することは勿論許されることではありません。
ここで一役を担うのが、情報公開法。国民が権力を監視する1つの手段です。
秘密保護法に反しない限り、国民は国が所有する情報にアクセスできる権利を持っており、政府の税金の浪費や汚職などの不正行為を阻止するのにも効果があるとしています。
今までの政治家の不正行為が、情報公開法があることによってどのように突き止められたのか。「政府の透明性」というものが何を意味するのかが当書で分かります。
スウェーデン・モデルの形成
福祉国家として知られるスウェーデン。
この国は、いつから、どのような経緯でそう呼ばれるようになったのか。
先進国として先を行くスウェーデンでも、昔貧困や飢餓に苦しんだことを忘れてはなりません。
特に第4章「スウェーデンという国」では、どのようにスウェーデン・モデルが形成されたかが記されており、時代変遷を辿ると、今までの様々な国の取り組みが現在の民主主義を形成しているということが分かります。
とは言っても全てが上手くいっているわけではなく、筆者は政策の抜け穴や社会の歪みも指摘しています。
それらも含めた時代背景を知ることで、スウェーデンの民主主義についての理解、スウェーデンという国そのものへの理解を深めることができます。
まとめ
以上、『あなたの知らない政治家の世界:スウェーデンに学ぶ民主主義』をご紹介しました。
私が読了してまず思ったのは、当書はまさに「わたしの知らない政治家の世界」と言うことでした。日本とは異なるスウェーデンのあり方に一層興味を持ちました。
皆さんも、ぜひご一読ください。
では、本記事をお読みになっていただきありがとうございました。Tack och vi ses!
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